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レポートの実例

経済展望レポート(2018年2月12日号)

米国株が暴落をしました。2月5日にNYダウ平均の下げ幅は1175ドル(下落率は4.6%)と過去最高となったのに続き、2月8日には下げ幅は1032ドル(下落率は4.1%)と過去2番目になったのですから、株価が落ち着くまでには多少の期間が必要となるのはいたしかたないでしょう。

昨年の10月号から今年の1月号にかけて、米国株がかなり割高になっている(ミニ・バブルの状況にある)としたうえで、大幅な調整をする可能性が高いということを、再三にわたって述べさせていただきました。そこで今回のレポートでは、今後の教訓として押さえておくべき要点を整理したうえで、今後の対応方法について簡潔に述べておきたいと思います。

今後の教訓として押さえておくべき要点は、主に以下の5点になります。

(1)ここ10年あまりの日経平均を主導しているのは、短期の投機筋や長期の投資家が入り混じっている現物の売買ではなくて、短期の投機筋が主体となっている先物の売買やそれに伴う値動きです。そういった意味では、一方向への買いや売りを継続して値幅を取りに行く投機的なファンドの動向は、相場の方向性を決定づけるうえでは非常に重要になっています。先物が主導している市場では、たった1日の急変動によって相場に変調の兆しが表れるということを、私たちはよく肝に銘じておくべきです。

(2)世界の株式の時価総額は90兆ドル近くに達していて、世界のGDPを大幅に上回ってきています。時価総額とGDPを比較するバフェット指標によれば、株価は2017年の春先以降、割高とされる水準で推移し続けていました。また、エール大学のシラー教授が考案した長期的な株価水準を示す指標によれば、2018年1月末時点のNYダウ平均のPERは33倍に達し、すでに2007年の住宅バブル時の水準を上回り、2000年のITバブル時の水準にも肉薄していました。

(3)1987年のブラック・マンデー、1997年のアジア通貨危機、2007年のサブプライム危機(あるいは2008年のリーマン・ショック)と、これまでの危機は10年程度に1度は起きています。バブルの崩壊後に中央銀行の金融緩和を経て、新たなバブルが生まれ、また崩壊に向かう。私たちは今もその繰り返しの過程にいるということを、決して軽視してはいけないでしょう。私もリーマン・ショックのような危機が起こるとは思っていませんが、ブラック・マンデー程度の危機は2018年~2019年に起こってもおかしくはないと考えているからです。

(4)日本株は先進各国と比べて割安であり、予想PERで計算すれば3万円を付けてもおかしくないという意見が2017年末あたりから勢いを増していましたが、日本株はPERよりも米国株との連動性のほうが強いので、米国株が割高な状態のまま3万円を目指すことはありえません。2018年にNYダウ平均が大幅な調整をするという仮定に立てば、それに引き寄せられるように日経平均も売られるという見方のほうが妥当なように思われます。

(5)NYダウ平均が26000ドルにまで達してしまっては、割高という水準というよりは、プチバブルの水準に入ってきたといってよいのかもしれません。米国株が上がれば上がるほど、上昇ピッチが速ければ速いほど、その反動が大きいことを意識せざるをえません。ウォール街の投資家の多くは音楽が鳴り止むまで踊り続けるつもりであり、音楽が鳴り止んだ途端に舞台から降りる準備もできているといいます。そのような話を聞いていると、相場の潮目が変わった途端にパニック的な売りが出るのではないかと心配になっています。

次に、今後の対応方法については、以下の3点に留意したいと考えています。

(1)株価がさらなる暴落へと続くのか、あるいは反転してくるのか、そのカギを大きく握るのは、・・・・(以下、省略)

経済展望レポート(2017年11月14日号)

先週末、ある週刊誌の取材を受けた時に、「マネックス証券の松本大さんは、日経平均が3万円まで上がるという話をされていますが、中原さんはどのようにお考えになるでしょうか」という質問を受けました。週刊誌の記者によれば、松本さんはその根拠として、「最近の日経平均の大幅な上昇は、日本がいよいよデフレから脱却し、インフレになるということを意味している」「インフレの時代には、日経平均の採用銘柄の新陳代謝も進み、日本株は米国株並みに買われる存在になる」といった事柄を挙げているということです。

この質問に対する私の回答は、「そのようになるわけがない」というものですが、主に次に申し上げる4点に要約できると思います。まず1点目として指摘したいのは、証券会社の会長・社長といった役職にある方々は、決して株価の見通しを悲観的に述べることはないということです。本人が本当はどう思っていようとも、手数料の減少に直結するような見解は言わないという不文律があるのです。ですから、株価が下がっている時には「将来的には上がる」という楽観的な見通しを述べますし、株価が大幅に上昇している時には、「もっと上がる」と強気な見通しを立てる傾向が強いわけです。

次に2点目として指摘したいのは、日本はこれから少子高齢化が加速し、労働力人口が減少の一途を辿る一方で、年金受給者が増え続けていくということです。この事実は、国民一人あたりの平均所得(可処分所得)が徐々に減っていくということを意味しています。30年~50年のスパンで見れば、年金額が300兆円~500兆円の積み立て不足に陥っているなかで、将来的には受給額の引き下げ圧力が高まっていくのは不可避な情勢です。年金受給者が増え続けるなかで、国民はインフレを決して望まないでしょうし、そもそも労働者が減り続ける状況下では、いくら経済金融政策で取り繕ってもインフレになるわけがないのです。

3点目として指摘したいのは、最近の日経平均の急ピッチな上昇は海外投資家の買い越し額の急増によるもので、このような買い越しは長続きしないだろうということです。前号でも述べましたように、海外投資家が日本株を買ったのは、米国株の上昇幅・上昇率と比べて、日本株に相対的な割安感が高まったという要因があります。過去1年間でNYダウ平均は30%程度、S&P500種は20%超の上昇をしていますが、今後も米国株が同じようなペースで上昇しないかぎり、日経平均が2万4000円や2万5000円を超えて上昇するのは難しいと見ております。

最後に4点目として言いたいのは、米国と日本では企業文化や価値観が異なっているため、企業の利益率に差が出るのは仕方がないということです。日本株が米国株と同じく右肩上がりで上昇し続けるためには、日本企業が米国企業のドラスティックな経営を取り入れて、利益率を上げないことには無理でしょう。たとえば、2014年にキャタピラーは直前まで最高益を更新していたにもかかわらず、2015年に業績の見通しが悪くなるという理由だけで、1万人単位のリストラを平然とやってのけました。米国企業の利益率が高い最大の要因は、ひとたび業績が伸び悩んでくると、人件費を大幅に削って利益率を上げることができるからなのです。

その結果、企業でリストラが行われるたびに、多くの労働者が中間層からこぼれ落ちていったかたわら、捻出した利益は配当増や自社株買いによって株主や経営陣に手厚く還元されてきました。ですから2000年以降の米国では、格差の拡大が急激に進んでいったのです。米国民の実質所得の中央値が2000年当初の水準を下回っているのに比べて、米国株が3倍にも4倍にもなっているというのは、富裕層に富が集中的に分配されてきた証左であるというわけです。このような歪な企業社会は、日本の企業文化には馴染みようがないし、社会や世論の反発が強くてとてもできないでしょう。

さて、みなさんも11月9日の株価の動きにはびっくりしたことでしょう。この日の日経平均は1992年1月以来、26年ぶりに2万3000円を超えましたが、午前11時28分に468円高の2万3382円の高値を付けた後、午後は雪崩のように一本調子で下げ、午後2時32分には390円安の2万2522円の安値を付けるまでになったのです。終値は前日比45円安まで戻して終わったものの、高値の2万3382円から安値の2万2522円まで日中の値幅は859円にまで達しました。ジェットコースターのような値動きをしたのですから、・・・・(以下、省略)


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